「インプラントの寿命がきた場合の交換費用は?」
「インプラントの寿命はどのくらい?」
「インプラントの寿命がきたあとの交換の流れが知りたい」
上記の疑問をお持ちの方は、10年前に入れたインプラントが最近ぐらつく気がして、交換が必要なのか、寿命や費用がどれくらいかかるのか不安をお持ちなのではないでしょうか。
インプラントは永久ではないため、寿命がきた場合は「状態に応じて交換・再治療」になります。
また、費用は一律ではなく、どこまでやり直すかで大きく変わります。
本記事では、「インプラントの寿命がきた場合の交換費用や、交換の流れ」を紹介します。
寿命がきたインプラントを放置するリスクまで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
インプラントの寿命がきた場合の交換費用【費用相場】
インプラントの交換(再治療)にかかる費用は、原則として自由診療のため、全額自己負担となり高額になる傾向があります。
一般的な相場として、簡単な症例では「40万円〜55万円程度」、骨造成などの追加処置が必要な難しい症例では「50万円〜65万円程度」が目安です。
この費用には、初回の治療と同様に、診断費、インプラント体、被せ物(上部構造)の費用、手術費用などが含まれ、歯科医院や使用材料によって変動します。
とくに、インプラント体や周囲の骨に問題があり、再埋入が必要な場合は費用が高額になりやすいのが特徴です。
そのため、再治療が必要になった際は、治療内容と費用の内訳を事前にしっかりと確認することが大切です。
インプラントの寿命はどのくらい?
インプラントは、適切なケアを続けることで非常に長期間機能することが期待できる治療法です。
統計的な平均寿命は「10年〜15年」とされていますが、これはあくまで目安の数値です。
実際には、日々の丁寧なセルフケアと、歯科医院での定期的な専門的メンテナンスをおこなうことで、20年以上、なかには40年以上にわたり問題なく使用している方も多くいらっしゃいます。
インプラントは、入れ歯の約5年、ブリッジの8年から9年という寿命と比較しても、非常に長く使えることが大きな利点です。
インプラントを長持ちさせるためには、天然の歯と同様に、周囲の組織の健康を保つための継続的な努力が最も重要です。
インプラントの寿命がきたサイン【交換時期の目安】
インプラントの寿命がきたサインは、以下の5つです。
- インプラント本体がグラグラと動揺している
- 歯茎が腫れたり出血や膿が出たりしている
- 被せ物(上部構造)が欠けたり外れたりしている
- 噛んだ時に痛みや違和感がある
- 食べ物が詰まりやすくなったり口臭がしたりする
それぞれ解説します。
インプラント本体がグラグラと動揺している
インプラント本体がグラグラと動いていると感じる場合は、骨との結合が失われている可能性を示す最も明確なサインです。
健康なインプラントは顎の骨と強固に結合しているため、天然の歯以上に安定しているのが正常な状態です。
この動揺を放置すると、インプラントの脱落に直接つながる危険性があります。
そのため、少しでもぐらつきを感じたら、すぐに歯科医院を受診し、骨の状態を含めた精密な検査を受ける必要があります。
歯茎が腫れたり出血や膿が出たりしている
インプラント周囲の歯茎が腫れたり、触ると出血したり膿が出たりしている場合は、インプラント周囲炎が進行している可能性が極めて高いです。
インプラント周囲炎は、歯周病と同様に周囲の組織に炎症が起きる疾患です。
この炎症は、最終的にインプラントを支えている顎の骨を溶かしてしまうため、インプラントの安定性を大きく損なう主要な原因となります。
もしこのような炎症のサインを見つけたら、早急に専門的な治療を開始することが必要です。
被せ物(上部構造)が欠けたり外れたりしている
被せ物(上部構造)が欠けたり、固定しているネジが緩んで外れたりする症状は、比較的軽微なトラブルである場合が多いです。
インプラント体そのものや周囲の骨に問題がないと診断された場合は、被せ物や固定部品のみの交換で治療が完了します。
このケースであれば、再埋入を伴う大掛かりな手術に比べ、治療期間を短く、費用も安価に抑えることが可能です。
噛み合わせのバランスが原因で被せ物が破損することもあるため、調整を含めて歯科医院で確認しましょう。
噛んだ時に痛みや違和感がある
噛んだ時にインプラントの部位に痛みや違和感を覚える場合、周囲の組織に何らかのトラブルが発生している可能性を示しています。
健康なインプラントは、安定した状態で快適な噛み心地を提供してくれるはずです。
違和感の原因として、噛み合わせの不具合やインプラント周囲の炎症が考えられます。
原因を特定するため、まずは歯科医院で噛み合わせの状態やインプラント周囲の組織を詳しく検査してもらうことが大切です。
食べ物が詰まりやすくなったり口臭がしたりする
インプラントの周りに食べ物が詰まりやすくなったり、口臭が気になったりする症状は、周囲の歯茎の炎症や、インプラントと上部構造の間にわずかな隙間が生じているサインです。
このような隙間には細菌が繁殖しやすく、インプラント周囲炎の進行を早める原因となります。
口臭は、とくに膿や炎症性の物質が発生している場合に強くなる傾向があります。
そのため、口内の環境悪化のサインとして受け止め、インプラントを長く快適に使うためにも、早めの対処が必要です。
インプラントの寿命がきたあとの交換の流れ
インプラントの寿命がきたあとの交換の流れは、以下のとおりです。
- 精密検査と診断をおこなう
- 【ケース1】上部構造(被せ物)や部品のみを交換する
- 【ケース2】インプラント体(土台)を撤去して再埋入する
ひとつずつ解説します。
精密検査と診断をおこなう
インプラントの再治療を成功させるための最初のステップは、精密な検査と正確な診断です。
とくに、CTスキャンによる三次元的な画像診断やデジタル模型の活用は、骨の状態やインプラント体の緩みの有無を特定するために不可欠です。
この検査によって、トラブルの原因が「被せ物(上部構造)」、「アバットメント(支台)」、「インプラント体(土台)」のどこにあるかを特定します。
この初期段階での正確な診断が、再治療の治療方針、期間、そして費用を決定するうえで非常に重要になります。
【ケース1】上部構造(被せ物)や部品のみを交換する
インプラント体そのものや周囲の骨には問題がなく、被せ物の破損や固定ネジの緩み・破損といった部分的なトラブルで済むケースです。
この場合、新しい上部構造を製作して交換する、または緩んだネジを締め直す、破損した部品を交換するといった処置がおこなわれます。
インプラント体をいじる必要がないため、治療期間は比較的短く、費用も再埋入が必要なケースに比べ安価に抑えることが可能です。
噛み合わせを再調整し、再発を防ぐためのマウスピースなどを作製することもあります。
【ケース2】インプラント体(土台)を撤去して再埋入する
インプラント周囲炎が重度に進行して骨の欠損が広範囲に及んでいる場合や、インプラント体自体が破折してしまった場合など、深刻なダメージがある際に必要となる大掛かりな治療です。
この治療では、まず既存のインプラント体を外科的に抜去し、骨の回復を待つ期間が必要です。
骨の量が不足している場合は、骨造成などの追加処置をおこない、骨が十分に回復したあとで新しいインプラント体を再埋入します。
そのため、全体の治療期間は数カ月〜1年以上と長期化する傾向があるため、時間をかけて慎重に治療を進めます。
寿命がきたインプラントを放置するリスク
寿命がきたインプラントを放置するリスクは、以下の4つです。
- インプラント周囲炎が進行して顎の骨が溶ける
- 隣の健康な歯や噛み合わせのバランスが崩れる
- 骨が痩せてしまいインプラントの再治療が不可能になる
- 大掛かりな処置が必要になり治療費が高額になる
それぞれ解説します。
インプラント周囲炎が進行して顎の骨が溶ける
インプラント周囲炎の初期段階の症状を放置すると、炎症がさらに進行し、インプラントを支えている顎の骨(歯槽骨)がどんどん溶けてしまいます。
骨の吸収が進むと、インプラントは次第に支えを失い、最終的にはグラグラと動揺して脱落を招くことになります。
さらに、顎骨の欠損が広範囲に及ぶと、抜去後の骨の再生が非常に難しくなるという問題も生じます。
このため、インプラント周囲炎の早期発見と治療が極めて重要です。
隣の健康な歯や噛み合わせのバランスが崩れる
インプラントのぐらつきや脱落などによって噛む力のバランスが崩れると、周囲の健康な歯に過剰な負担がかかるようになります。
これにより、残っている天然歯が摩耗したり、歯根の部分が傷んだりする原因となります。
また、噛み合わせのズレは、食べ物をしっかりと噛み砕けなくなるだけでなく、顎関節への負担が増大し、顎関節症を引き起こす可能性もあります。
インプラントの異常は、残存している歯の寿命を縮めてしまうことにもつながります。
骨が痩せてしまいインプラントの再治療が不可能になる
インプラントが脱落した後や、インプラント体を抜去した後に顎骨の吸収が進んでしまうと、新しいインプラントを埋入するための十分な骨量がなくなってしまいます。
骨の量が不足すると、骨造成手術などの追加処置が必要となりますが、骨の吸収があまりにも進んでいる場合は、これらの追加処置をおこなってもインプラントの再治療自体が不可能になるリスクが生じます。
再治療の選択肢を将来に残すためにも、顎骨の状態を保つことが大切です。
大掛かりな処置が必要になり治療費が高額になる
インプラントの異常を初期段階で発見し、適切な処置をおこなうと、多くの場合、被せ物や部品の交換といった比較的軽微な修理で済ませることができます。
しかし、問題を放置してインプラント周囲炎が進行すると、インプラント体の抜去、大規模な骨造成、そして再埋入といった、大掛かりな外科処置が必要となります。
その結果、再治療にかかる費用は、初回のインプラント治療と同等か、場合によってはそれを上回るほどの高額になってしまいます。
経済的な負担を避けるためにも、異常を感じたらすぐに専門医を受診することが重要です。
インプラントに関するよくある質問
インプラントに関するよくある質問を以下にまとめました。
- ほかの歯科医院で入れたインプラントでも対応してもらえる?
- 再手術の痛みや腫れは初回の手術よりも強い?
- メーカーの保証期間が過ぎた場合でも修理はできる?
- 高齢になり持病があっても交換手術は受けられる?
ひとつずつ回答します。
ほかの歯科医院で入れたインプラントでも対応してもらえる?
ほかの歯科医院で入れたインプラントでも、再治療や修理に対応してもらえる場合は多くあります。
ただしインプラントはメーカーごとに規格が異なるため、事前に使用メーカーを伝えて相談することが重要です。
CT画像や治療データがあれば持参し、まずは専門の歯科医院で相談するとスムーズに対応してもらえます。
再手術の痛みや腫れは初回の手術よりも強い?
再手術の痛みや腫れは、おこなう治療内容によって大きく異なります。
インプラントの撤去や骨造成を伴う場合は、初回手術と同程度、またはそれ以上になることもあります。
]ただし、麻酔や鎮静法、術後の投薬により、痛みや腫れは適切にコントロールされます。
メーカーの保証期間が過ぎた場合でも修理はできる?
インプラントのメーカーの保証期間が過ぎた場合でも、修理や再治療は可能です。
ただし保証は適用されないため、費用は原則として全額自己負担になります。
修理費用は高額になることもあるため、事前に歯科医院で内容や費用を十分に相談することが大切です。
高齢になり持病があっても交換手術は受けられる?
インプラントは、高齢の方や持病がある方でも、条件が整えば交換手術を受けられる場合はあります。
ただし全身状態や口腔内の状況によってはリスクが高まるため、慎重な判断が必要です。
主治医と歯科医師が連携し、健康状態に配慮した治療計画を立てることが重要になります。
まとめ
インプラントは、適切なメンテナンスをおこなうことで長期にわたり快適に使用できる優れた治療法です。
その一方で、平均寿命が10年から15年程度であることを念頭に置き、定期的な検査とケアが不可欠です。
万が一、ぐらつきや腫れなどの異常のサインを感じた場合は、放置せず、できる限り早期に専門医を受診することが、再治療の費用と手間を最小限に抑えるための最善策となります。
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もし費用負担をできるだけ軽減しながら、安心してインプラント治療を受けたい方はぜひお気軽にご相談ください。