「インプラント治療における静脈内鎮静法とは?」
「インプラントの静脈内鎮静法でどの程度痛みや不安が軽減できるのか知りたい」
「静脈内鎮静法を使ったインプラント治療の安全性を確認したい」
上記の疑問をお持ちの方は、インプラント治療に興味はあるけど、手術の痛みや不安でなかなか踏み出せないでいるのではないでしょうか。
インプラント治療への不安を和らげる静脈内鎮静法は、歯科恐怖症の方や嘔吐反射が強い方にとって有効な選択肢です。
本記事では、「インプラント治療における静脈内鎮静法や概要、メリット」を紹介します。
静脈内鎮静法を用いた一般的なインプラント手術の流れまで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
インプラント治療における静脈内鎮静法とは?
インプラント治療における静脈内鎮静法については、以下のとおりです。
- 静脈内鎮静法ではどのような状態になるのか
- 全身麻酔との違い
それぞれ解説します。
また、インプラント手術における麻酔については、以下の記事で解説しています。
詳細は「インプラント手術で麻酔を使用する?種類別の費用やメリットまで解説」をご覧ください。
静脈内鎮静法ではどのような状態になるのか
静脈内鎮静法を使うと、まるでうたた寝をしているように、頭がぼんやりしてリラックスした状態になります。
鎮静薬が脳の働きを落ち着かせるため、不安や緊張を感じにくくなるのです。
完全に意識がなくなるわけではなく、歯科医師から「お口を開けてください」といった簡単な声かけには応じられます。
つまり、ぐっすり眠ってしまうのとは違い、心地よい感覚を保ちながら治療を受けられるのが、この麻酔法の特徴です。
全身麻酔との違い
静脈内鎮静法と全身麻酔の大きな違いは「意識の有無」と「呼吸の方法」にあります。
全身麻酔では意識が完全になくなり、人工呼吸器を使って呼吸を管理する必要があります。
これに対して静脈内鎮静法では、意識は保たれたままリラックスでき、自分の力で呼吸を続けられるのが特徴です。
体への負担も小さく、安全性が高い方法といえるでしょう。
静脈内鎮静法はこんな方におすすめ
静脈内鎮静法は、歯科治療に強い恐怖心を抱いている方や、器具が口に入ると吐き気が出てしまう「嘔吐反射」が強い方に向いています。
緊張によってこれらの症状は悪化しやすいですが、鎮静法によって心身が落ち着くと大きく軽減されます。
さらに、複数のインプラント埋入や骨造成といった長時間の外科処置でも、体感時間が短く感じられるため負担が少なくなるのが特徴です。
インプラント手術に不安やストレスを抱えている方にとって、検討する価値のある方法といえます。
静脈内鎮静法でインプラント手術を受けるメリット
静脈内鎮静法でインプラント手術を受けるメリットは、以下の3つです。
- 楽な気持ちで手術に臨める
- 手術中の記憶が残りにくい
- インプラント手術の安全性が高まる
ひとつずつ解説します。
楽な気持ちで手術に臨める
静脈内鎮静法を使うと、不安や恐怖、緊張が和らぎ、落ち着いた気持ちで手術を受けられます。
鎮静薬が脳の不安を感じる働きに作用し、心を穏やかにしてくれるためです。
状態としては眠る直前のように心地よく、手術に対するマイナスの感情が自然と薄れていきます。
安心して治療に臨めることは、患者さんにとって大きなメリットです。
手術中の記憶が残りにくい
静脈内鎮静法には「健忘効果」があり、手術中の記憶がほとんど残らないという特徴があります。
ドリルの音や振動、医師との会話などを実際には体験していても、あとから思い出すことはほとんどありません。
そのため、手術を怖い記憶として残してしまうリスクを大きく減らせます。
インプラント治療を安心して終え、前向きな体験として受け止められる点は、この方法の大きな利点です。
インプラント手術の安全性が高まる
静脈内鎮静法を用いると、患者さんがリラックスできるため、インプラント手術の安全性も向上します。
恐怖や緊張によって血圧が急に上がったり、体が無意識に動いたりするリスクを防げるためです。
全身の状態が安定していれば、執刀医は処置に集中でき、より正確でスムーズな手術をおこなえます。
つまり、この方法は患者さんの安心につながるだけでなく、手術の質そのものを高める効果も持っています。
インプラント治療で静脈内鎮静法を使うデメリットとリスク
インプラント治療で静脈内鎮静法を使うデメリットとリスクは、以下の3つです。
- 麻酔から回復するまでに時間がかかる
- 追加費用がかかる
- 多少なりともリスクをともなう
それぞれ解説します。
麻酔から回復するまでに時間がかかる
静脈内鎮静法のデメリットは、手術後に意識がはっきりするまで少し時間がかかる点です。
鎮静薬の効果が切れる速さには個人差があるため、完全に回復するまでには待機が必要です。
一般的には30分〜1時間ほどリカバリー室で安静にし、ふらつきがないか確認したうえで帰宅となります。
また、当日は車や自転車の運転はできないため、予定には余裕を持つことが大切です。
追加費用がかかる
静脈内鎮静法には追加費用がかかりますが、条件によっては健康保険が適用され、3割負担で「2,500円~4,000円程度」で受けられる場合もあります。
しかし、自費診療となると数万円から十数万円ほどの費用が発生します。
これは、インプラント治療費とは別に、専門の歯科麻酔医や専用機材、薬剤などが必要になるためです。
金額は歯科医院によって異なるため、治療計画を立てる際には総額を事前に確認しておくことが重要です。
多少なりともリスクをともなう
静脈内鎮静法は安全性の高い方法ですが、鎮静薬を使う以上、リスクが全くないわけではありません。
ごくまれに呼吸が浅くなったり、血圧が下がったりする偶発症が起こる場合もあります。
そのため、経験豊富な歯科麻酔医が全身の状態を細かく監視し、万が一に備えることが重要です。
信頼できる医療体制のもとでおこなわれてこそ、静脈内鎮静法は安心して受けられる処置となります。
静脈内鎮静法を用いた一般的なインプラント手術の流れ
静脈内鎮静法を用いた一般的なインプラント手術の流れは、以下のとおりです。
- カウンセリングを受けて万全の準備で当日を迎える
- 来院後は体調を確認して点滴でリラックス状態に入る
- 手術中は生体情報モニターで常に全身を管理する
- 術後は意識がはっきりするまでリカバリー室で休む
- 帰宅時の注意を守って翌日以降は安静に過ごす
ひとつずつ解説します。
カウンセリングを受けて万全の準備で当日を迎える
安全に治療を進めるためには、事前のカウンセリングが欠かせません。
この段階で既往歴や服用中の薬、アレルギーの有無などを詳しく確認し、患者さんに合った鎮静薬を選びます。
これは、万全の体制を整えるために必要なプロセスです。
また、不安や疑問がある場合は、この機会にすべて相談して解消しておくことが大切です。
来院後は体調を確認して点滴でリラックス状態に入る
手術当日は、まず来院後に血圧測定などをおこない、体調に問題がないかを最終チェックしたあと、腕の静脈から点滴で鎮静薬を投与します。
薬が体内に入ると数分で眠気が訪れ、肩の力が抜けるように心地よいリラックス状態へと移行します。
この時点では、治療に対する不安も自然と和らいでいるでしょう。
手術中は生体情報モニターで常に全身を管理する
手術が始まると、歯科麻酔の専門医が患者さんのそばで全身の状態を細かく管理します。
指先には血中酸素を測るセンサー、腕には血圧計、胸には心電図を装着し、生体情報モニターで呼吸や循環の変化を常にチェックします。
万が一異常があっても、すぐに対応できる体制が整っているのです。
この徹底した管理こそが、静脈内鎮静法の高い安全性を支えています。
術後は意識がはっきりするまでリカバリー室で休む
手術が終わっても、すぐに帰宅することはできません。
鎮静薬の作用が残っているため、意識や体の動きが安定するまで、リカバリー専用の部屋で休みます。
通常は30分〜1時間ほどで会話がしっかりできるようになり、ふらつきなく歩ける状態まで回復します。
焦らず落ち着いて休む時間をとることが、安全に帰宅するために大切です。
帰宅時の注意を守って翌日以降は安静に過ごす
麻酔から十分に回復したことを確認してから帰宅となりますが、いくつか守るべき注意点があります。
鎮静薬の影響が完全に抜けるまでは集中力や判断力が落ちているため、自分で車や自転車を運転するのは厳禁です。
できればご家族に迎えをお願いするか、公共交通機関を利用しましょう。
帰宅後は無理をせず休養をとり、翌日以降も安静に過ごすことが、順調な回復につながります。
静脈内鎮静法に対応した歯科医院を選ぶ際のポイント
静脈内鎮静法に対応した歯科医院を選ぶ際のポイントは、以下の4つです。
- 歯科麻酔を専門とする医師が在籍している
- 安全管理のための設備が十分に整っている
- 不安に寄り添い丁寧な説明を徹底している
- 治療にかかる費用体系が分かりやすい
それぞれ解説します。
また、インプラント歯科の選び方については、下記の記事で解説しています。
詳細は「インプラント歯科の選び方は?選ぶポイントと考慮するべきリスクを紹介 」をご覧ください。
歯科麻酔を専門とする医師が在籍している
安全性を左右する最も重要なポイントは、歯科麻酔を専門とする医師が治療に立ち会うかどうかです。
日本歯科麻酔学会の認定医や専門医のように、麻酔に関する高度な知識と技術、そして緊急時の対応経験を持つ医師が在籍しているかを確認しましょう。
執刀医が麻酔管理を兼任するのではなく、専任の麻酔専門医が担当する体制こそが、安全性を大きく高めます。
安全管理のための設備が十分に整っている
安全に治療を受けるためには、設備が整っているかどうかも大切な確認ポイントです。
手術中に全身の状態を監視する生体情報モニターはもちろん、万が一に備えて救急蘇生キットやAED、酸素ボンベなどの医療機器が完備されていることが重要です。
こうした設備が揃っている医院は、安全管理に対する意識が高いといえます。
不安に寄り添い丁寧な説明を徹底している
治療内容やリスク、費用について、不安な気持ちに寄り添いながら丁寧に説明してくれる医院を選ぶことが大切です。
専門用語ばかりではなく、わかりやすい言葉でメリットとデメリットをきちんと伝えてくれる姿勢は、信頼関係を築くうえで欠かせません。
カウンセリングの際に質問しやすい雰囲気があるかどうかも、安心して治療を任せられる医院かどうかを見極めるポイントになります。
治療にかかる費用体系が分かりやすい
静脈内鎮静法は自費診療となる場合が多いため、料金体系が明確に提示されていることが重要です。
カウンセリングの段階で、麻酔にかかる総額を具体的に示し、追加費用の有無まで分かりやすく説明してくれる医院を選びましょう。
費用の透明性が高い医院は、誠実な医療をおこなっている証ともいえます。
まとめ
インプラント治療への不安を和らげる静脈内鎮静法は、歯科恐怖症の方や嘔吐反射が強い方にとって有効な選択肢です。
この方法を用いれば、うたた寝をしているようなリラックスした状態で、気づいたときには手術が終わっているという体験が可能になります。
しかし、その効果と安全性を最大限に引き出すには、歯科麻酔の専門医が在籍し、安全管理設備が整った信頼できる歯科医院を選ぶことが不可欠です。
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もし費用負担をできるだけ軽減しながら、安心してインプラント治療を受けたい方はぜひお気軽にご相談ください。